Brand strategy column-ブランド戦略コラム-

ブランディング

どんな会社でもリブランディングが必要な理由

2018.06.28

最近売り上げが落ちてきた。顧客が減ってきている、と感じたらリブランディングが必要かもしれません。リブランディングとは、すでに確立されたブランドを見直し再構築し、ブランドを活性化することを言います。

ブランドを愛してくれているユーザーも歳をとります。つまり歳を取ることで今までのようにその商品、サービスを必要としなくなるかもしれません。味覚の変化、体型の変化、ライフスタイルの変化、価値観の変化…それらをすべて包括する時代と環境変化のスピード。

「うちのブランド、このままでは大丈夫だろうか?」と多くの経営者は不安を感じているはずです。でも検討に踏み切らない理由は、「リブランドにより既存顧客を失うのではないか」という不安からかもしれません。確かに切迫した状態でリブランディングを検討するのは賭けになるので、常に「時代や市場の変化に合わせて、自分たちも変わらなければならない」という意識をどの企業も持つことが必要です。

事例に学ぶリブランディング

2018年、発売70周年を迎える元祖ビアテイスト清涼飲料水「ホッピー」。1970〜1980年前半に全盛期を迎えたホッピーは、ビールの代替品として大衆的な飲食店に集うサラリーマンに長く売上を支えられてきました。ブランドとしての認知度は非常に高かったものの、若い世代にブランドイメージ調査を行うと、「古臭い」「オヤジの飲みもの」などという悪いイメージを持たれていました。

そこで、ボトルやロゴを若向きにしてブランドイメージの刷新を図ります。大手なら巨額の宣伝費をかけて一気にブランド認知を拡大する場面ですが、中小企業ではそのような投資はできないため、デザイン変更によるリブランディングは1,000万円の赤字を出し、不発に終わりました。

2000年には年商が10億円を切り売上が低迷しますが、イノベーションを模索し続けた末に、ホッピービバレッジは新たな若い層の獲得に向けて、特に若い女性を意識したリブランディングを行い、「プリン体ゼロ・低カロリー・低糖質の健康志向飲料」という新しいブランド価値を届ける方向にシフトしたのです。

結果、2017年には売上を39億円にまで伸ばし、見事にリブランディングを成功させました。ちなみにこれらの陣頭指揮をとったのは、2010年に三代目社長に就任した石渡美奈さんでした。

レトロブーム、飲酒運転の罰則が大幅に強化されノンアルコールビールブームが起きたこと、その“元祖”ともいうべき存在としてホッピーが注目されたことなどの環境要因を味方につけて、ブランドを再構築。ホッピーの業績を5年間で3倍にした、まさにリブランディングの成功事例と言えます。

リブランディングが必要なタイミング

それではどのタイミングでリブランディングは必要になるのでしょうか?そもそも企業は永続的に経営し、雇用を守り、社会的役割を果たす必要がありますが、好調だったブランドが売れなくなる、異業種からの参入などライバルの増加、それに伴う価格競争、ブランドが老化して時代とズレている、社長交代による社員のざわつきなど、企業はさまざまな局面で問題にぶつかります。そんな時、リブランディングを検討してみましょう。

リブランディングが必要とされるタイミングには、以下のものが挙げられます。

【 1. 売上減少のタイミング】
売上が減少している場合、その解決策をすぐに検討し、手を打つ必要があります。売上減少の理由を売上データの分析、環境分析、ブランドイメージ調査等で探りましょう。時代の変化により次世代顧客にとって魅力のないブランドになっているため新規顧客の獲得ができないのか、強いライバルの出現で顧客を奪われているのか、そもそも今の市場が合っているのかなど、原因を分析し、打ち手の仮説を立てます。

対象市場や顧客を変えたらどうなるのか、価格は適切か、デザインや顧客とのコミュニケーションの在り方を変えたらどうか等のシミュレーションも行い、リブランディングの方向性を決定します。

また、中小企業の業績は、これらの外的要因だけでなく内的要因が大きいこともよくあります。業績が安定していた時期が長かったために社員が危機感を持っておらずイノベーションを嫌がる傾向がある、またはブランドは変えてはいけないと頑なに思い込んでいるために今に至っているのかもしれません。

オレンジフリーがリブランディングをサポートした企業では、経営者自らが会社の置かれている状況を伝え、一人ひとりに協力を仰いでいきました。社員は、会社という船に乗り合わせています。会社の危機は、自身の生活につながる問題であることを理解してもらい、リブランディングの必要性を自分ゴトにしてもらうことです。

全体説明会も並行して行っていきます。売上減少は待った無しなので、社員を積極的に参加させるシナリオを作り、丁寧且つ迅速に進めていきましょう。

【 2. 社長交代のタイミング】
社長交代時は、新社長の存在感を示し求心力を高めたいタイミング。外部環境・内部環境やビジネスモデルを見直してブランドの強化を図ることは、継承したビジネスを時代にフィットさせるための重要な仕事です。

社史を紐解きましょう。先代が行ったことを分析して判断を下しましょう。そして新社長が引き継ぐもの、捨てるものをハッキリさせます。方向性が決まったら可視化し、社内・社外に向けて発信しましょう。周囲にリーダーが変わったことを認識させます。そのことにより顧客、取引先、社員の三方に対してブランドイメージを刷新することができます。

【 3. 50周年など会社の節目のタイミング】
周年記念イヤーの少なくとも3年前からリブランディングの準備を進めましょう。この目的は、会社の節目のタイミングに備えて社員が準備することで改めて自社の歴史を振り返り、会社に対して再び意識を向けてもらいロイヤルティを高めることにあります。

今後50~100年と続く会社になるために節目を活用しましょう。より強い存在感を地域や業界に対してアピールできます。

【 4. 採用活動のタイミング】
募集してもなかなかいい人材が集まってこない。それは企業のブランドイメージの問題かもしれません。

例えば3Kの印象を持たれがちな介護事業所ですが、ブランドイメージを一新し、マイナビ就職EXPOで大入り満員のブースにした弊社事例もあります。それは快活で親しみやすいキャラクターを前面に押し出して楽しさと活気を演出し、椅子カバーもキャラクターを印刷するなど、思わず立ち寄りたくなるブースを演出しました。

しかしながらこれも小手先のデザインだけで行っておらず、外部環境・内部環境分析やSTP分析、ペルソナやブランド体験を設定して、その結果を踏まえてデザインをしています。リブランディングの戦略を経たデザインだからこそ良い結果を得ることができたのです。

その他、リブランディングが必要なタイミングは、価格競争に巻き込まれている、企業イメージが古いと感じていて刷新したい、社員モチベーションを上げたい(誇りに思える会社にする)、M&Aによる統合時などが挙げられます。

経営はgoing concern(ゴーイングコンサーン)、永続経営です。時代の変遷と共に企業活動がある以上、企業も変わらなければ永続はできません。企業は淘汰され、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」というのを日々実感します。

この流れの速いビジネス環境下で、リブランディングの検討の必要がない企業は一社もないはずです。ビジネスが閉塞してからでは遅いのです。日頃からリブランディングを検討する癖をつけ、環境変化に適応することが大切です。