言葉には、人を束ねる力がある。

ブランディングの現場で、いつも感じることがあります。それは、「言葉には、人を束ねる力がある」ということ。どんなに立派な理念やビジョンを掲げても、それが社員の心に根づいていなければ、組織は動きません。

けれど、言葉が「自分たちらしさ」を映す鏡になったとき、そこから驚くほどの一体感と推進力が生まれるのです。

「とことん」の旗印が立った日

IKOI GROUPという総合介護企業があります。 大阪のヒルトンプラザウエストに本社を置き、社員数はおよそ1,000名。 事業の拡大期や新たな施設展開の節目に立つたびに、「自分たちは何者なのか」「何を大切にしていくのか」という問いに向き合ってきました。

私たちオレンジフリーは、そんな同社と長年にわたり伴走し、 「言葉を現場の力に変える仕組みづくり」をお手伝いしてきました。 ブランディングの取り組みをスタートしたときに生まれたブランド・アイデンティティが、 『とことん、ご利用者様の居場所づくりのために』。 創業者の想い、現場で働くスタッフの姿勢、 そして「人に寄り添う」という企業の根幹を、とことん、という4文字に込めています。

言葉は、育つ。

あれから12年──。組織は拡大し、事業領域も多様化し、次のステージへ。そこで、この言葉を進化させる取り組みが始まり、新たなブランド・アイデンティティは、『とことん、から始まるinnovation』に決まりました。とことんの原点を大切にしながら、挑戦と革新を恐れず進化し続ける企業へ。言葉が企業とともに成長していく──まさにブランドが“生きている証だと感じます。

言葉は、企業文化をつくり、業績に反映される。

「とことん」という言葉は、単なるスローガンではありません。採用、教育、日々の判断基準──すべてに“物差し”として息づいています。幹部社員はこの共通の言葉で語り合い、現場の若手リーダーたちは「とことん」に照らして自ら考え、動くようになっています。

その変化は数字にクリアです。売上は2014年の6億円から2024年には100億円、そして2027年には150億円を見込むまでに成長。離職率は業界平均17%に対してわずか4%です。

ブランディングとは、見た目を整えることではなく、「自分たちは社会にどう存在するか」を言葉で定義することから始まります。その言葉があるからこそ、社員は迷わず判断でき、チームは同じ方向を向いて動けるのです。顧客への姿勢であり、社員同士の約束であり、会社の未来を照らすコンパスになる言葉をいかに研ぎ出せるかにかかっています。

オレンジフリーはこれからも、企業の中に眠る“まだ言葉になっていない想い”を掘り起こし、その言葉を、成長のエンジンに変えていきたいと思います。