「アアナッテ、コウナッタ」~わたくしの履歴書~ 小池玲子ブログ

第52話 プロローグは新しい扉作りから 

2022.04.04

「終わりは、始まり。」

一つのドアーを閉めると、いつもそこに新しいドアーが待っている。これが私の信条。
     
3つ目の扉を閉めた時、私は60歳になっていた。振り返ると、それまでの私は自分で新しい扉を開けてきたつもりだったが、それは用意されていたものだったのか、そして私は外資系の広告代理店の狭い世界で最善を尽くして働いてきただけかもしれない。
   
しかし、今回は変えよう。
  
それは私自身の扉を作ること。もっと自由に今まで知らなかった世界を開ける扉、今まで出会えなかった人と出会う扉。私自身の双方向の扉を。
   
「老後とは息引きとる日彼岸花」 私の大好きな俳人、相生葉留美さんの句。この句のように、そう、私の想いは一生仕事を通じて人と関わりあってゆきたいこと。そして、それがたとえどんな仕事であろうとも、仕事を通じて社会と繋がってゆきたい。そんな願いを叶える扉を。
   
こんな気持ちで、私は自分の事務所を立ち上げた。扉に掲げた文字はR-3。
「R-3の名前の理由は?」とよく聞かれる。種明かしは実に簡単。

実は私は初対面の方から正確な名前で呼ばれた試しがない。玲子と書いてヨシコと読む。父が一体どんな意図でこんな名前をつけたのか理解に苦しむが、そう!初対面の人は、皆レイコさんて呼ぶ。なら、レイコさんと呼んで気軽に扉を開けて欲しい!
  
私の経験を誰かが利用したいと望むならば、扉を叩いてほしい。私の考えが誰かの役に立つならば、扉を開けて入ってきほしい。そして私もさらなる新しい世界の経験を求め、扉をあけて飛び出してゆきたい。新しい経験を求めて。
   
新しい扉を開けるとそこは日本の社会。それからの私の仕事は日本との関わりが100%となった。それは全く未知の世界だった。
    
振り返ってみると、私の期待通り、いや期待以上に、日本という奥深い世界は様々な経験をさせてくれた。私は日本人でありながら、現実の日本を知らなかった。35年間の外資勤は私を異邦人にしていた。

「アアナッテ、コウナッタ」のタイトルの通り、ドタバタの毎日。そして、日本を、日本人を、そして自分自身を学ぶ新たな20年が始まった。
    
そんな、ああなって、こうなったのドタバタのR-3編は、また機会があればお話ししたい。
長い間お付き合いくださりありがとうございます。


MAGRITTE 題名はLE POISON 扉の中は何が待っているのか。希望か、夢か、悪夢か・・・とにかく開けてみよう!そうしないと始まらない。